藤沢市辻堂の幼児教室オーシャンルーム講師の小室美穂です。
十人十色、個性豊かな子どもたちと貴重なお時間を過ごすことができ、
本当に嬉しく感じております。
今日は、「そもそもなぜ私が幼児教室の先生というお仕事をしているのか」
そのきっかけを、この場を借りてお伝えしたいと思います。
私が幼少のころ住んでいたのは、木に囲まれた木造の借家でした。
敷地内には離れのようなスペースがあり、
そこに一人のおじいちゃんがお住まいになられていました。
その名を「あじ先生」。
芸術家である先生は、そのお教室兼アトリエでご自身の絵を描きながら、
近所の子どもへ歌遊びやお絵かきを教えられていました。
大きな木の横にある木造のアトリエは、ものすごく良い木の香りと
絵具のにおいがして、それは幼少期の記憶として鮮明に覚えています。
まだ2歳だった私は、そのアトリエが気になって気になってしょうがなく、
午後になると聞こえてくる合唱を合図に、母親の静止を振り切り、
毎日のように始まるそのお教室をのぞきに行きました。
小学生以上が対象であった、あじ先生のお教室は
レッスンというより、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちが
あじ先生と楽しく遊んでいたような、そんな暖かい雰囲気がありました。
私は、それを毎日外から見てることが何よりの楽しみでした。
ところがある日、あじ先生が手招きしながら
「美穂ちゃんも来なさい」と仰っていただいたのです。
2歳ということは、私はまだ言葉もしっかりと話せない年齢だったにも関わらず、
「かまわないから」と笑顔で迎え入れてくれました。
その日を境に、あじ先生にたくさんのことを教えていただきました。
目先の知識なんかではなく、
お絵かき、お歌あそび、工作など日々の遊びや四季の生活の中で感じることに対して
まるで遊んでいるように、五感で感じることを大切にしたレッスンでした。
厳しさの中にも、溢れた愛情で、たくさんの優しさで、しっかりと目を見ながら
いろいろなことを教えてくれました。
レッスンが終わった後にくれるひとつのキャラメルが、とても美味しかったこと。。
実際に言葉を話すよりも前にピアノが弾けるようになり音楽が大好きになったのも、
その後の人生において、音楽というかけがえのない宝物を育んでいただいたのも、
すべて、あじ先生のおかげです。
その後の人生いろいろなことがあり、厳しい経験もたくさんありましたが、
あじ先生にきっかけをいただいた音楽と絵は、私の生きる力になりました。
あの時、あじ先生が教室の扉を開けてくれなければ、
いまの私の人生は無かったと思います。
いま私が子どもたちに教えたいこと、それはあじ先生に教えていただいたことです。
日々の中で感じること、四季の中で味わうこと、
すべては楽しみながら、何よりも心から好きになるように、
そしてそれが生きて行く上での糧や自信になるように。
「あじ先生のような」、私はそんな人間になりたいと思っています。
まだまだ足元にも及ばないと実感しておりますが、
あの陽だまりにある、あじ先生の暖かいお教室のような場所に、
少しでもオーシャンルームは近づきたいと切に願います。
そして、一人でも多くの子どもに、何か一つ自分の自信になるような、
人生を歩む上での糧となるような、そんな体験をプレゼントできれば、
私はこの上ない幸せです。